社長の退職金を作りながら節税できる2つの方法~大阪市中央区天満橋の税理士通信~

老後2,000万円問題が話題になりましたが、老後の生活のためにも退職金は欲しいですよね。

しかし、会社は勝手に退職金を出してくれません!

中小企業の社長は、自分で退職金を確保する必要があります。

今回は、社長の退職金として積み立てを行い、かつ、節税にもなるオススメの制度をお伝えします。

一つは、小規模企業共済という制度で、もう一つはiDeCoです。

聞いたことがある方も多いとは思いますが、何が違うのかよくわかりませんよね?

この記事を読んで制度を理解できたら、活用しない理由はないでしょう。

また、始めるなら、早ければ早い方が効果は絶大です。

2つの制度の共通点と違い

いきなり結論ですが、2つの制度を簡単に表にしています。

細かな説明は後で説明しますので、まずはこちらの表をご覧ください。

小規模企業共済iDeCo
月額掛金1,000円~70,000円5,000円~68,000円
掛金の取扱い所得から全額控除
共済金の受取方法一括 or 分割、併用も可一括 or 分割
共済金にかかる税金退職所得 or 雑所得(公的年金)
中途解約できるできない
貸付金制度できるできない
運用益にかかる税金課税非課税

大まかな共通点

掛金の取扱い

1つ目の共通点は、掛金が所得控除となる点です。

これは、個人にかかる所得税の計算で控除される(節税となる)ものです。

掛金を支払った人は、年末調整か確定申告の際に、

社会保険料控除という枠で、その年分の所得から差し引くことが出来るのです。

支払った掛金が全額経費になるようなイメージですね。

共済金にかかる税金

掛金を払い続け、解約する際には今まで掛けてきた金額を受け取ることとなります。

これを「共済金」と呼びます。

共済金を受け取る際に、一括で受け取ると「退職所得」として、

分割で受け取ると「雑所得(公的年金)」として、

一般的に、給与で受け取るよりも、所得税が有利になる方法で受け取ることができます

まとめ

共通点のまとめとしては、

①支払った金額は所得税の計算上控除され、

②受け取る金額は所得税の計算上有利な方法で受け取れる

という事です。

支払ったときも、受け取ったときも節税になるので、

ダブルで節税になるという素晴らしい制度なのです。

大きな違い

中途解約

2つの制度の大きな違いとして、中途解約の可否があります。

小規模企業共済は中途解約ができますが、iDeCoは原則できません。

緊急で資金が必要になった際に、小規模企業共済は解約して現金化できます。

一方iDeCoは、60歳まで加入し続けなければならないので、いざという時の資金としては不安が残ります。

しかし、着実に貯めたいという方には解約できない方が向いているのかもしれません。

貸付金制度

小規模企業共済は、掛金の一定の範囲内で、お金を借りることができます。

いざという時の資金繰り対策としても使うことができます。

iDeCoには貸付金制度はありません。

運用益にかかる税金

掛金の運用について、小規模企業共済は掛金の納付月数に応じて、

掛金合計額の最大120%相当額を受け取れます。

この受け取った金額は、そのまま所得として計算されることになります。

一方、iDeCoは掛金が上手く運用されれば、掛金を上回った金額を受け取ることができます

この運用益については非課税となります。

オススメ① 小規模企業共済

まずオススメするのは、小規模企業共済です。

こちらの制度は、小規模企業の経営者や役員の方が、

廃業や退職時の生活資金等のために積み立てるものです。

何といっても、国の機関である中小機構が運営するものなので、

国が潰れない限りは、安心して掛金を支払うことができます。

お得なポイント

掛金の増減可能

月々の掛金は1,000円~70,000円まで、

500円単位で自由に設定できます。

また、加入後も増額・減額できるので、状況に合わせて設定できていいですね。

共済金の受け取り方法

共済金は満期や満額はなく、廃業・退職時に受け取ることができます。

受け取り方法は、「一括」・「分割」・「一括と分割の併用」を選ぶことができます。

受け取り時の状況に応じて選べるのがいいですね。

共済金の金額

掛金の納付期間や共済金の請求事由によって、

最大120%相当額の共済金が戻ってきます。

一番多く共済金を受け取れる請求事由は、個人が廃業した場合や法人が解散した場合などです。

注意点

解約する場合

共済金は上記の通り、廃業・退職時に受け取ることができますが、

途中で解約することもできます(任意解約)。

しかし、任意解約した場合、掛金納付月数が240ヶ月未満であれば

掛金合計額を下回ってしまうので、注意が必要です。

オススメ② iDeCo

iDeCoも個人が加入し、掛金を自分で決めるものですが、

運用方法を自分で決めるという特徴があります。

いわゆる私的年金制度で、国民年金基金連合会が運営しています。

メリットとしては、掛金が運用されることと、

その運用益に課税されないことが最大の魅力ですね。

iDeCoの特徴

加入資格

小規模企業共済は、経営者や役員などしか加入できませんでしたが、

iDeCoは20歳以上60歳未満の国民年金加入者であれば、基本的には誰でも加入する事ができます。

掛金の上限

加入者の区分によって、掛金の上限額が違うのが特徴です。

個人事業主は月額最大68,000円ですが、経営者(会社員)は12,000円~23,000円です。

経営者(会社員)の場合、企業年金に加入していなければ月額最大23,000円となります。

お得なポイント

運用できる

iDeCoは運用をするので、その運用商品次第で大きく資産を増やせる可能性があります。

数十年かけて、掛金の2倍なんてことも可能性としてはあり得ますよね。

運用益は非課税

通常、投資信託などの金融商品を運用すると、

運用益に課税(約20%)されますが、

iDeCoなら運用益は非課税で再投資されます。

注意点

解約できない

原則60歳になるまで解約できません。

60歳になるまで続ける覚悟が必要ですが、

確実に貯めていけるという考え方もできますよね。

ちなみに、解約できる例外は下記の通りです。

①脱退一時金を受け取る場合

 国民年金の保険料を払えない状態等になれば、途中解約できるようです。

②加入者が一定の高度障害者になった場合

③加入者が死亡した場合

運用失敗

運用商品次第で、元本割れするリスクもありますね。

この辺りは、加入する方の考え方によりますが、

不安な方は元本確保商品を選ぶといいかもしれませんね。

まとめ

いかがでしょうか?

節税しながら社長の退職金を作るという意味では、2つの制度は似ていると思います。

ただし、途中解約の有無や、運用リスクが大きく違いますね。

どっちを選ぶかはアナタの状況次第

資金の安定性や、いざという時の現金化を考えると、小規模企業共済がオススメです。

まずは、経営者が入るべき制度は小規模企業共済だと考えます。

一方、資金に余裕がある方は、iDeCoがいいかもしれません。

簡単に現金化できないので強制的に運用でき、数十年後に大きく増えているかもしれません。

実は併用できる!

どちらか選ぶような書き方をしましたが、

実は小規模企業共済とiDeCoは併用できます。

併用した場合、個人事業主だと、最大で165万6千円を所得控除として使うことが出来ます!

皆様もご自身の状況に応じて、制度を最大限活用することをオススメします。

この判断は社長の状況に応じて変わってくると思いますので、

お悩みの際は、

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