節税になる⁉今さら聞けない倒産防止共済の超基本~大阪市中央区天満橋の税理士通信~

節税になるものとして、倒産防止共済という制度を聞いた事がある方は多いのではないでしょうか?

しかし、どういう制度なのか、ほとんどの方が詳しく知らないと思います。

ということで、今さら聞けない倒産防止共済の基本について、まとめてみました。

この記事を読むと、倒産防止共済の内容がよくわかり

みなさまの会社や事業で利用することで、メリットを享受できるかもしれません。

倒産防止共済とは

まず、「倒産防止共済」とはどういう制度なのか?という基本的な説明です。

この制度の趣旨は、取引先が倒産した際に、無担保・無保証で借入れができるというものです。

取引先が倒産すると、売上が回収できないかもしれませんよね?

そうすると、あなたの会社も資金繰りが悪くなり、連鎖的に倒産してしまうかもしれません。

つまり、この制度は事業者の連鎖倒産や経営難に陥ることを防ぐための制度なのです。

この本来の趣旨を知らない方が多いので、ぜひ覚えておいてくださいね。

加入資格

継続して1年以上事業を行っている中小企業者(会社または個人の事業者)で、

下記の表に該当する事業者が加入できます。

「資本金の額または出資の総額」、「常時使用する従業員数」のいずれかに該当すればOKです。

税金の滞納をしている場合など、加入できない場合もあるので、ご注意ください。

業種資本金の額または出資の総額常時使用する従業員数
製造業、建設業、運輸業その他の業種3億円以下300人以下
卸売業1億円以下100人以下
サービス業5,000万円以下100人以下
小売業5,000万円以下50人以下
ゴム製品製造業(自動車または航空機用タイヤおよびチューブ製造業ならびに工業用ベルト製造業を除く。)3億円以下900人以下
ソフトウェア業または情報処理サービス業3億円以下300人以下
旅館業5,000万円以下200人以下
中小機構「経営セーフティ共済 加入資格」より抜粋

5つの特徴

倒産防止共済には、5つの特徴があります。

特徴1 無担保・無保証で、掛金の10倍まで借入れができる

取引先が倒産(法的整理・取引停処分など)した場合、無担保・無保証で借入れが可能です。

ただし、借入額には上限があり、

「回収困難となった売掛金債権等の額」か、「納付された掛金総額の10倍(最高8,000万円)」の

いずれか少ない方の金額が上限となります。

特徴2 取引先が倒産したら、即借入可能

取引先が倒産し、売掛金等の回収が困難になった場合、

その取引先との取引が確認でき次第、すぐに借入れすることができます。

審査に時間がかからないということですね。

特徴3 掛金を経費にできる

これが節税といわれる理由ですね。

法人では損金に算入でき、個人事業主も必要経費に算入できます。

意外に個人事業でも加入できることが知られていないため、加入できるとお伝えすると驚かれる方も多いです。

また、掛金は月額5,000円~20万円まで設定でき、途中で増額や減額ができます。

さらに、原則月払いですが、年払いに変更することもできます。

このように自由に金額を設定できるところが、使い勝手がいい最大のポイントですね。

特徴4 一時貸付金を利用できる

本来、取引先が倒産した場合に借入ができる制度ですが、

倒産していなくても一時的に借入することができます

これを一時貸付金といいます。臨時的に事業資金が必要になった際は、検討の余地がありそうですね。

 ・借入限度額  解約手当金の95%の範囲内

 ・返済期間   1年

 ・利率     変動 

         ※平成23年4月1日以降に中小機構が受け付けた一時貸付金の請求については、

          年0.9%

特徴5 解約手当金が受け取れる

共済契約を解約した場合には、解約手当金が受け取れます。

自己都合の解約でも、掛金を12ヶ月以上納めていれば掛金総額の約8割が受け取れ、

40ヶ月以上納めていれば、掛金全額が受け取れます

つまり、約3年半掛金を納めていれば、損することはないということですね。

経費にする場合のポイント

掛金の年払いを検討する

特徴3で記載しているとおり、年払いの方法があります。

これは掛金の前納、つまり、1年間前払いするというものです。

どういう場面で使うかというと、決算前に検討することが多いです。

例えば、3月決算の法人の場合、3月に最大240万円(月額20万円×12か月)を払うことで、

240万円が経費として計上できます。

また、4月~2月は月払いで20万円ずつ支払い、

3月に年払いに変更して240万円支払うという方法もありますね。

申告時に書類が必要

倒産防止共済の掛金を経費にする場合、申告時に作成しなければならない書類があります。

①法人の場合 

 「別表10(7)」の〈特定の基金に対する負担金等の損金算入に関する明細書〉と、

「適用額明細書」を作成し提出することが必要です。

②個人事業の場合

 「中小企業倒産防止共済掛金の必要経費算入に関する明細書」を作成し、確定申告書に添付する必要があります。

解約した場合の返戻金は?

特徴5に記載したとおり、掛金を40ヶ月以上納めていると、

解約した際に全額受け取ることができます。

受け取った場合の経理方法

解約手当金を受け取った場合、全額「益金」となります。つまり、全額課税の対象ということです。

法人であれば法人税等の対象となり、個人事業であれば所得税等の対象となります。

掛金を払ったときに経費にしているので、受け取るときには利益になるというのは、

考えてみれば当たり前ですね。

解約するタイミングが大事ですので、赤字の年度に解約したり、

大きな経費が出る際に解約するなど、出口戦略が必要となります。

分割して受け取れるのか?

よく聞かれる質問ですが、残念ながら分割して受け取ることはできません。

一括で全額返金されるので、最大800万円まで掛金を納めておくと

一気に800万円が利益として戻ってくることとなりますので、ご注意ください。

まとめ

いかがでしたか?

倒産防止共済の基本的な内容をまとめてみましたが、ポイントは大きく3つかと思います。

①掛金の月額をどうするか

②月払いにするか、年払いにするか

③解約手当金を受け取るタイミングをどうするか

この判断は会社の状況に応じて変わってくると思いますので、

お悩みの際は、

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